着物カタログのような七五三写真はいらない at 埼玉・川越八幡宮

手水舎で手を洗う男の子の手

子供にとって写真スタジオはつまらない

今回は5歳男の子の七五三をご紹介します。埼玉県川越市にお住まいのOさんファミリーです。場所は埼玉県の川越八幡宮

『某有名写真スタジオで七五三の前撮りをしたんですけど。。。まったく撮れなくて』というOさん。

このような相談は非常に多いので、七五三の出張撮影はもはや定番化つつある今日この頃。

他には『カメラマンが子供慣れしていなかったかも』『うちの子はストロボ(フラッシュ)が苦手みたいで』など写真スタジオで上手く撮れなかったという声はよく耳にします。

いやいや。単純に、お子様にとって写真スタジオはつまらないんです。狭い空間でのマネキン撮影は面白くないんです。

つまらそうな顔をする男の子

そもそも七五三の写真は写真館や写真スタジオでという風習はなぜ生まれたのでしょうか。

多くの写真館を運営(メインスポンサー)しているのが呉服屋だということは言うまでもありませんが、着物を着て、お参りをするという過程に、写真撮影を加えたことが着物ビジネスの成功に繋がったいえます。

七五三のように一時にしか使わない衣装としての着物は高額なので、購入よりレンタルという考えは自然な流れです。着物販売はターゲット層が狭く、レンタルビジネスを展開するにあたって写真素材は不可欠ですし、お客様の記念写真がそのまま広告写真になるわけですから写真スタジオの運営には好都合です。ウェディングドレスを入り口としたブライダルビジネスも同様のモデルですし、最近ではコスプレスタジオが流行っていますね。

しかし、着物ありきの写真スタジオでは、カメラマンは着物の見え方を重視するばかりで人物の表情なんて後回し。写真の良し悪しは着物。アングルやポーズも着物が軸です。なぜなら、着物レンタルの集客ができなければ、プロカメラマンの仕事もないですし、企業の本体が着物屋さんですから子供の表情がどうのこうの言ってられないのが現状です。

『ああして!こうして!』と注意されていたら、子供が嫌がるのは当然ですが、そもそも、子供が泣こうと嫌がろうと着物はキチっと真っ直ぐ立って撮らなければならないと思っている大人がたくさんいるのが現実ですから仕方がありません。七五三自体が古い風習で雛人形のように型にはまったマネキン写真が良しとされていたわけですから、着物ありきの七五三写真でも納得は出来ます。

鈴緒にもたれかかる5歳男の子

とはいえ、せっかくの七五三だから良い写真が欲しいというパパやママの声は少なくありません。

『うちの子らしい七五三写真を残しておきたい』『七五三の写真は子供らしく自由に』。カメラが急速に発展して写真そのものが非常に身近になった現代では、雛人形のように超固まった写真や免許証のように無表情な写真をずっと残しておきたいとは思わなくなってきたようです。スマホで簡単に子供の写真が撮れるようになったので、写真の良し悪しの基準が変わったのようにも思えます。

結局、七五三の写真は、着物カタログの写真ではなく、証明写真でもない。

家族写真なんですよね。

ママと一緒に手水舎で手を洗う男の子

写真撮影はつまらない。次は疲労。

さて、今日のお殿様はクニちゃん。5歳男の子です。
ご祈祷を終えて、なんだか疲れ気味。いわゆる帰りたいモード。そりゃそうですよね、朝早く起きて着付け屋さんに行って、その後神社に移動してご祈祷。子供にしたら、なんのこっちゃわからないし、楽しくもない。おまけに草履が痛い。

とはいえ、写真スタジオで失敗したけど諦められないパパとママが経験豊富なプロカメラマンに依頼できる出張撮影に依頼したわけですから、子供がグズったくらいではat FOMEのカメラマンは引き下がれません。

早速、突破口を見つけるべくアクションをおこします。

まずは、パパとママに手をつないでもらい、三人で鳥居をくぐり手水舎へ。手を洗って、参拝までの一連の流れをお願いしました。カメラを見なくてもいいですし、ポーズをとらなくてもいいんです。晩ご飯の話でもしてくれればOK。家族の自然な姿を残すのも大切な事です。

お参りをする5歳男の子

手を洗ったら、お参りです。くにちゃんはとっても素直な子で、パパとママの言う事をしっかり聞いています。写真スタジオでグズった様子が想像できないくらいです。

そもそも男の子は、女の子と違って飽きやすいんです。『可愛いね!』とか『カッコイイいね!』という褒め言葉は通じません。

つまらない。次は疲労に繋がります。きっと、写真スタジオでは何かのタイミングでスイッチがオフになっちゃったんでしょうね。

着物ばかりを撮っているカメラマンにはわからないかもしれませんが、子供にはたくさんスイッチがあるんです。

スイッチが入った男の子

七五三写真は誕生日やクリスマスのように楽しく

楽しいスイッチをオンにしたら笑います。パパとママが笑えば、より一層笑います。

七五三が楽しいんじゃなく、パパとママとの時間が楽しいんです。誕生日やクリスマスと同じように家族の時間が楽しいんです。

パパとママの笑顔が子供を笑顔にします。なので、カメラマンはパパとママの笑顔を求めます(笑)

七五三のポーズをとる5歳男の子

『よっ、海老蔵!』と盛り上げると、飛び跳ねます。

『殿〜お待ち下され〜』と手をのばすと逃げ回ります。

草履を脱いで座り込む男の子

調子に乗りすぎるのが玉に瑕ですが(笑)

落語家みたいな男の子

いよいよ海老蔵が落語家みたいになっちゃいましたが、川越八幡宮がとても空いていたのでラッキーでした。座り込んでも転がっても、他の参拝客に迷惑にならなければアリなのかなと思ってしまいました(笑)

5歳男の子の笑顔

草履が痛いと言って、泣くのと笑うのでは大きな違いがあります。

草履を嫌がりながら笑う男の子

袴だって草履だって子供が好んでいるわけではなく、大人にやらされているわけです。つまらないイコール疲労です。くにちゃんのように草履が痛くても笑える状況を作ってあげると写真撮影は進みます。

パパとママの足の間から顔を覗かせる男の子

七五三は子供の成長を祝う日。嫌がる子供を叱りつけてまで写真を撮ることが間違っているんです。

着物にお金をかけていれば、キチっとした写真で年賀状は作りたいという気持ちもあるでしょう。でも、子供にとっては七五三より誕生日やクリスマスの方が楽しいかもしれないんです。

だから、誕生日やクリスマスのように楽しい時間を作ることが重要になります。

パパとママと手を繋いで喜ぶ男の子

ビシっと決めた着物ポーズだけが七五三の写真ではありません。

七五三の写真は家族写真です。家族写真は遠い未来まで残す写真です。各イベントの過ごし方は家族それぞれですが、写真は時間を残すだけなんです。

年賀状用にキチっとした写真

最後に、本殿の前でキチっとした家族写真を撮りました。くにちゃんに『年賀状用にキチっとした写真が撮りたいんだけど』と言ったら、『うん、わかった』といって彼なりにキチっとしてくれました。

パパとママの写真はサイト掲載NGとのことでしたので、お見せ出来ないのが残念ですが、家族写真をたくさん残せました。

後日、キチっとした年賀状を祖父母様に送れたというご連絡をママから頂きました。

めでたし、めでたし。

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