カメラマンは保育士ではない at 東京・新宿花園神社

本殿の前で七五三の記念写真

七五三写真で失敗する原因

東京都新宿区にお住まいのMさんファミリー。実は七五三写真の出張撮影のお申し込みまでに時間がかかったお客様です。

『うちの娘はとっても人見知りが激しいんです。七五三の前撮りでスタジオで撮影したときも、まったくカメラを見ないし、ぜんぜん撮れなかったんです。なので、子供に慣れた女性カメラマンをお願いしたいのですが』(Mさんママ)

正直、このようなお問い合わせを頂くことは多い。

『子供の撮影は女性カメラマンで!!!』男性では子供を扱えないと、まるで伝説のように語る人さえもいる。保育士のような定義なんだろう。

あいにく、今は女性カメラマンは在籍していない。仕事のためなら女装をしてもいいが、女性というよりオカマになってしまう。もはやヒゲガール(笑)

そもそもカメラマンは保育士ではないので、こういうしかない。

『 わかります!よーく、わかります!!とーってもよく、わかります!!!でも、大丈夫ですよ。僕は子供と動物には好かれるので! haha〜』

すんごいフランクなYes-3連発-But法にきこえるが、案外、軽い方が効果があるものだ。

『えー?じゃあ、わかりました。お願いします』(Mさんママ)

七五三写真の撮影当日。場所は東京都新宿区・ 花園神社。小雨が降る、あいにくの天気。

早速、問題になってる彼女の顔をのぞく。すでに曇り模様のチーちゃん、3才。

なるほど、警戒心たっぷりだ!

でも、でも、でも。たったそれだけである。

とっても可愛い子。警戒をといてあげればいい。それだけ。つか、それは大人同士でも同じ事。

最初から、撮る気マンマンで『あーして!こーして!笑って!』とパシャパシャ始めるカメラマンが多いが、七五三写真で失敗するカメラマンの原因の一つである。

でっかいカメラを構え、ストロボ光をバンバン発射する。まるでライフルで標的を狙うスナイパーのようだ。そう、銃口とカメラレンズの差はない。

誰だって、怖えー。

それから、親や祖父母も『まっすぐ立って!靴のつま先を揃えて!笑って!』と七五三の写真はこうでしょと言わんばかりに煽る。これをやめさせないと失敗する。

七五三となると、今日はあなたが主役よ!とばかりに高価なドレスを着せているから良い写真を残したい気持ちはわかる。だけど、子供にとっては大人に囲まれ、あーでもない、こーでもないと言われたら嫌になるもの。ちょうど、役がない俳優が無理矢理、舞台に放りだされるようなもんだ。

七五三は子供を思うパパとママの愛情表現の行事。子供だってそれを期待している。写真を撮られたくて着物やドレスを着たんじゃない。

『人見知りが激しいから』親にしても、カメラマンにしても、大人は都合よく理由をつけたいんだよね。

子供は感じたままを表現してるだけ。

だから、僕は、いきなりカメラを向けたりしない。しばらく、ママやパパと世間話をしながら、彼女の様子を伺う。

彼女も僕の様子を伺っている。女の子の3歳はかなり成長していて、外野の様子をしっかり観察している。

彼女の反応を待たなきゃならない。ようするに相手のスイッチを探さなきゃならない。

何かのタイミングでスイッチをONにできたら、次は相手の声に合わせる。それは、音のない声に楽器のチューニングを合わせるみたいで難儀だが(笑)

ほとんど感覚ですね。

そうして、ようやく本番の撮影がスタートする。トータルで1時間、一緒にいるが、撮影時間は20分くらい。

チューニングがズレたら、もう一度合わせる。

時には、今こうやって写ったよ!とカメラモニターを見せてあげる。彼女にカメラを渡して、オトナのオモチャで遊ばせてあげてもいい。

彼女が笑えば、ご両親も笑う。そして、おじいちゃん、おばあちゃんも笑う。演奏会をするかのように、みんなのチューニングが合えば上出来だ。

祖父母で七五三の記念写真

彼女はとっても可愛い子、警戒をといてあげればいい。

それだけ。

つか、それは大人同士でも同じ事。

『高野さん、すごい!不思議!なんでだろう?』(Mさんママ)

『カメラを持ったマギー審司でっす!』(僕)

カメラの知識が豊富なひとがカメラマンではない。写真を撮るには知恵が必要。シャッターを押すだけがカメラマンの仕事じゃねーんだな。

しかし、カメラマンは保育士ではない(笑)

花園神社で七五三の記念写真

チーちゃん、カメラに慣れてよかったねー。

今度、会うときは成人式かな。いや、7歳も七五三を撮ろうよ!スタジオじゃなく出張撮影でね。

また会える日を楽しみにしてるよ。

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